失敗しないシステム開発契約書の作り方|適正条件で品質とコストを両立
システム開発を外部企業に依頼する際、最も重要なのが開発契約書の作成です。しかし、「どのような条件で契約すべきか」「トラブルを防ぐために何を注意すべきか」といった疑問を抱く企業様も多いのではないでしょうか。
こちらでは、システム開発契約書の作成ポイントから契約条件の決め方、リスク回避の方法まで、実務に役立つ情報を詳しく解説します。適切な契約書を作成することで、品質とコストを両立しながら、システム開発プロジェクトを成功に導くことができます。
システム開発契約書に必須で盛り込むべき基本項目

システム開発契約書は、プロジェクトの成功とトラブル防止のために欠かせない重要な文書です。契約書に明記すべき項目を適切に定めることで、双方の期待を整合し、リスクを最小限に抑えることが可能です。実際の契約書作成で重要な項目をご紹介します。
プロジェクト範囲・成果物の明確化
開発するシステムの機能範囲、成果物の種類と品質基準、納期スケジュールを詳細に定めます。曖昧な表現ではなく、具体的な機能一覧、画面ワイヤーフレーム、パフォーマンス要件などを明記し、双方の認識を統一します。
責任範囲・分界点の設定
発注側と受注側の責任範囲を明確に分け、問題発生時の対応方法を定めます。要件定義、設計、開発、テスト、デプロイメントなど、各フェーズでの責任分界を明確にし、トラブル時の紛争を防ぎます。
代金・支払い条件の設定
開発費用の総額、支払いスケジュール、支払い条件を詳細に定めます。着手金、中間金、最終金の支払いタイミングと条件、追加開発時の費用算定方法、作業変更時の費用調整ルールなどを明確にします。
変更管理・追加作業の取り決め
プロジェクト開始後の仕様変更や追加作業の取り扱い方法を定めます。変更管理プロセス、影響度評価の手順、追加費用の算定方法、承認フローなどを明確にし、スコープクリープを防ぎます。
知的財産権・機密情報の取り扱い
開発したシステムの著作権、ソースコードの所有権、技術ドキュメントの扱いを明確にします。また、プロジェクトで知り得た機密情報の扱い、秘密保持義務、竞業避止条項なども必要に応じて盛り込みます。
システム開発契約の料金体系と費用管理

システム開発の料金体系は、プロジェクトの特性やリスクによって適切な形態を選択する必要があります。費用管理とリスク分散を適切に行うために、各料金体系の特徴と適用ケースを理解しておくことが重要です。
固定価格契約(一括請負)
プロジェクト開始時に総額を確定し、仕様変更がない限り追加費用が発生しない契約形態です。予算管理がしやすい一方、詳細な要件定義が必要です。
- 予算管理が容易
- プロジェクトスコープが明確
- 要件変更時の影響が大きい
- リスクは開発会社が負担
時間単価契約(准委任)
実際の作業時間に基づいて費用を算定する契約形態です。柔軟な対応が可能ですが、最終的な費用が不確定なため、上限額の設定が重要です。
- 仕様変更に柔軟対応
- 実稼働時間での費用算定
- 上限額の設定が必要
- 作業時間の管理が重要
成果報酬契約(インセンティブ型)
プロジェクトの成果や成功度に応じて報酬を決定する契約形態です。リスクを開発会社と共有し、高い成果を期待できますが、成果指標の設定が難しい側面もあります。
- 成果指標の達成度で評価
- リスクとリターンを共有
- 長期的なパートナーシップ
- 成果指標の設定が困難
契約書作成時に注意すべきリスクと対策
システム開発契約には、プロジェクトの成否を左右する様々なリスクが潜んでいます。これらのリスクを事前に識別し、適切な対策を契約書に盛り込むことで、トラブルを防ぎ、プロジェクトを成功に導くことができます。
スコープクリープのリスク
プロジェクト開始後の仕様変更や追加要求によるスコープクリープを防ぐため、変更管理プロセスを明確に定めます。変更範囲の定義、影響度評価、追加費用の算定方法、承認フローを事前に設定します。
品質保証の曖昧さ
「高品質なシステムを提供」といった曖昧な表現ではなく、具体的な品質基準と検査方法を定めます。コードレビューの実施、テストカバレッジの目標値、パフォーマンス基準、セキュリティ基準などを数値で明確にします。
知的財産権の紛争
開発したシステムの著作権やソースコードの所有権、第三者ライセンスの扱いに関する紛争を防ぐため、知的財産権の帰属を明確にします。特に、オープンソースソフトウェアの使用や既存システムの流用に注意が必要です。
納期遅延のリスク
プロジェクトの納期遅延に対するペナルティ、遅延損害金、代替手段の提供などを定めます。ただし、発注側の要因(仕様変更、承認遅延など)による遅延の場合の取り扱いも明確にし、双方のリスクを適切に分担します。
中途解約のリスク
プロジェクト中途での契約解除時の取り扱いを明確にします。既に完成した成果物の引き渡し、中途までの成果の評価方法、解約料の設定、ソースコードやドキュメントの所有権などを事前に取り決めておきます。
システム開発契約書作成の成功ポイント
適切なシステム開発契約書を作成することで、プロジェクトの成功率を飛躍的に高めることが可能です。契約書は単なる法的文書ではなく、プロジェクトの設計図であり、コミュニケーションツールでもあります。
TechThanksでは、システム開発プロジェクトの企画段階から契約書作成を支援し、リスクを最小限に抑えたプロジェクト運営を実現しています。AWS環境を中心とした豊富な開発実績とプロジェクト管理のノウハウで、高品質なシステム開発サービスを提供いたします。
システム開発プロジェクトや契約書作成についてご相談がございましたら、まずはお客様のビジネス要件と技術要件をお聞かせください。最適な開発アプローチと契約形態をご提案いたします。