いつかは開発を内製化したい企業様へ。開発パートナーと進める「自走支援」という新しい関係
「いつまでも外部の会社に頼り続けるのは不安だ」「自分たちの手でサービスを改善していきたい」。システム開発を外部に委託している多くの企業が、いつかは「内製化」を実現したいと考えています。しかし、いざ内製化を目指そうにも、「何から始めればいいのか」「本当に自社だけでやっていけるのか」といった不安から、なかなか一歩を踏み出せないのが実情ではないでしょうか。
内製化は、単に自社でエンジニアを雇用すれば達成できるものではありません。技術力はもちろんのこと、開発プロセス、チーム文化、そしてビジネスの変化に迅速に対応できる組織体制を、時間をかけて構築していく必要があります。
そこで有効なのが、単なる受託開発ではなく、お客様が「自走」できるようになることを見据えて支援する開発パートナーとの連携です。この記事では、将来的な内製化を目指す企業様に向けて、開発パートナーと共に進める「自走支援」という新しい関係性と、その具体的な支援内容について解説します。
内製化を阻む3つの壁

多くの企業が内製化に踏み切れない背景には、大きく3つの壁が存在します。
1. 人材の壁(採用・育成)
最大の課題は、やはり人材の確保です。優秀なIT人材の採用競争は激化しており、自社の求めるスキルを持つエンジニアを確保するのは容易ではありません。また、採用できたとしても、その後の育成や定着、チームとしての文化醸成には多くの時間とノウハウが必要です。特に、Web開発、クラウド、AI・機械学習といった先端技術領域では、市場価値の高い人材の確保はより困難になっています。
加えて、優秀なエンジニアを採用しても、企業のビジネスドメインや既存システムへの理解には時間がかかります。技術力があっても、業務要件を正確に把握し、適切なソリューションを提案できるようになるまでには、通常数か月から1年程度の期間が必要です。この育成期間中は、既存の業務への即戦力としての貢献は期待できず、むしろ他のメンバーの時間を割いてサポートする必要があります。
2. 技術の壁(技術選定・アーキテクチャ設計)
クラウドやAIなど、技術の進化は日進月歩です。ビジネスの将来を見据えた適切な技術選定や、拡張性・保守性の高いシステムアーキテクチャの設計には、高度な専門知識と経験が求められます。この部分を誤ると、将来的に「技術的負債」として大きな足かせになりかねません。
技術選定においては、単に最新の技術を選択すれば良いわけではありません。自社の事業規模、成長予測、予算、保有する技術リソースなどを総合的に考慮し、最適なバランスを見つける必要があります。例えば、マイクロサービス化やサーバーレス化は魅力的な選択肢ですが、運用の複雑さや学習コストも考慮しなければなりません。適切な技術選定には、幅広い技術への深い理解と、実際の運用経験に基づく知見が不可欠です。
3. プロセスの壁(開発手法・文化)
アジャイル開発やDevOpsといったモダンな開発プロセスを導入し、組織に定着させることも大きな壁となります。単にツールを導入するだけでなく、チーム内のコミュニケーションや意思決定のあり方など、組織文化そのものの変革が求められます。
従来のウォーターフォール型開発に慣れた組織では、「要件は最初に完全に決める」「変更は極力避ける」といった考え方が根深く浸透していることが多く、アジャイルの「変化に対応する」という考え方への転換は容易ではありません。また、継続的インテグレーション・継続的デプロイ(CI/CD)の導入には、テスト自動化、インフラのコード化、監視体制の整備など、技術的な基盤整備も同時に必要です。これらの変革には、技術面だけでなく、組織マネジメントや意識改革の視点からのアプローチも重要になります。
「自走支援」で実現する、段階的な内製化

TechThanksが提唱する「自走支援」は、これらの壁を乗り越えるための現実的なアプローチです。最初から全てを内製化するのではなく、開発パートナーと共同でプロジェクトを進めながら、段階的に知識やノウハウの技術移転を進めていきます。
この支援方法の特徴は、お客様の現在のスキルレベルや組織の成熟度に応じて、段階的に責任範囲を移譲していくことです。最初はパートナーが主導権を握りながら、徐々にお客様側が主体的に開発を進められるようサポートします。
1. 共同での開発とOJT
まずは、お客様のメンバーにも開発チームの一員としてプロジェクトに参加していただきます。実際の開発業務(OJT)を通じて、コードの書き方、テスト手法、デプロイのプロセスなどを実践的に学んでいただきます。
このアプローチでは、理論的な知識だけでなく、実際のプロジェクトで発生する様々な課題への対処方法も同時に学ぶことができます。バグの調査方法、パフォーマンスの最適化、セキュリティの考慮点など、実践的な経験を積みながら技術力を向上させていきます。
2. 定期的なコードレビューと勉強会
パートナーのエンジニアが、お客様のメンバーが書いたコードを定期的にレビューし、より良い設計や実装方法についてフィードバックします。また、特定の技術テーマに関する勉強会を開催し、チーム全体の技術力向上を支援します。
コードレビューは単なる品質チェックではなく、設計思想の共有や技術的な議論を通じて、より深い理解を促進します。また、勉強会では、新しいフレームワークや開発手法、業界のトレンドなどについても情報共有し、チームの技術的視野を広げます。
3. ドキュメント化とナレッジ共有
システムの設計思想やアーキテクチャ、運用手順などをドキュメントとして整備し、お客様の資産として残します。これにより、開発の属人化を防ぎ、将来的に新しいメンバーが加わった際のスムーズなキャッチアップを可能にします。
ドキュメント化は、技術仕様書だけでなく、意思決定の経緯や技術選定の理由なども含めて行います。将来的な機能追加や変更の際に、なぜその設計にしたのかという背景を理解できることで、適切な判断を下すことができるようになります。
成功する内製化の段階的ロードマップ
内製化を成功させるためには、明確な段階設定と現実的なタイムラインが不可欠です。一般的に、完全な内製化までには1-3年程度の期間を要しますが、段階的なアプローチにより早期から成果を実感できる仕組みを構築することが重要です。
第1段階:基盤構築期(3-6か月)
開発環境の整備、基本的な開発プロセスの確立、初期メンバーの技術力向上に重点を置きます。この段階では、パートナー企業が主導権を握りながら、お客様のメンバーが開発の実際を体験し、基礎的なスキルを身につけます。
第2段階:協働開発期(6-12か月)
お客様のメンバーが開発の一部を主体的に担当し、パートナーがサポートとレビューを行います。この段階では、実際のビジネス要件に基づいた機能開発を通じて、実践的な経験を積み重ねます。
第3段階:自立運用期(12か月以降)
お客様が主体となって開発・運用を行い、パートナーは技術的なアドバイザーとしてサポートします。新しい技術の導入や複雑な課題の解決時に、必要に応じて専門的な支援を提供します。
内製化の先にある未来へ
内製化は、コスト削減や外部委託からの脱却といった守りの側面だけでなく、ビジネスの成長を加速させる「攻め」の戦略でもあります。自社の手で迅速にサービスを改善し、顧客のニーズに素早く応えることができる体制は、これからの時代における強力な競争優位性となります。市場の変化に対する反応速度、顧客フィードバックの即座の反映、新しいビジネス機会への迅速な対応など、内製化により得られる機動力は計り知れません。
また、内製化により培われる技術力と開発体制は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進においても重要な資産となります。自社でシステムを開発・改善できる能力は、業務プロセスの最適化、新しいサービスの創出、データ活用の高度化など、様々な取り組みの基盤となります。外部に依存せず、自社のペースでデジタル化を進められることは、長期的な競争力の源泉となるでしょう。
TechThanksは、単なる開発会社ではありません。お客様が技術を自社の力とし、ビジネスを成長させていくための「伴走者」です。将来的な内製化を視野に入れているが、何から手をつければ良いか分からない、という企業様は、ぜひ一度私たちにご相談ください。お客様の目指すゴールに向けた、最適なロードマップを一緒に描かせていただきます。
内製化への道のりは決して平坦ではありませんが、適切なパートナーと共に歩むことで、確実に前進することができます。技術力の向上、開発プロセスの確立、そして組織文化の変革を通じて、お客様のビジネスが次のステージへと成長していく過程を、私たちは全力でサポートいたします。