導入後のコスト急増を防ぐ。継続的な監視と最適化でAWSを賢く使う方法
「AWSを導入したら月額料金が想定の3倍になった」「気がついたら月100万円を超えていた」——こうした"クラウド破産"に陥る企業が後を絶ちません。AWSは使った分だけ課金される従量制のため、適切な監視と最適化を怠ると、コストが雪だるま式に増大する危険性があります。
特に、開発環境とプロダクション環境を分けずに運用していたり、使われていないリソースを放置していたりすると、無駄なコストが継続的に発生し続けます。AWSのコスト管理は「作って終わり」ではなく、継続的な監視と改善が不可欠です。
こちらでは、AWSコストが急増する主な原因と、継続的なコスト監視の手法、効果的な最適化のポイントを詳しく解説します。
なぜAWSのコストは予想以上に高くなるのか?「クラウド破産」の主な原因

AWS導入後にコストが予想以上に膨らんでしまう背景には、従量制課金の特性への理解不足と、継続的な監視体制の欠如があります。「使った分だけ」という表現の裏には、24時間365日稼働し続けるリソースや、利用頻度に関係なく発生する固定費用も含まれています。
ここでは、多くの企業が陥りがちなコスト急増の原因を具体的に解説します。
未使用リソースの放置によるコスト継続
開発やテスト用に起動したEC2インスタンスやRDSデータベースを停止し忘れ、24時間365日稼働させ続けているケースが非常に多く見られます。また、不要になったEBSボリュームやElastic IPアドレスを削除せずに残しておくと、使用していなくても継続的に料金が発生します。
オーバースペックなリソース選択
「念のため」という理由で、実際の負荷に対して過剰な性能のインスタンスタイプを選択してしまうケースがあります。CPUやメモリの使用率が常に20%以下なのに、高性能なインスタンスを使い続けることで、無駄なコストが発生し続けます。
データ転送料金への認識不足
AWSでは、異なるアベイラビリティゾーン間やリージョン間、インターネットへのデータ転送に料金が発生します。アーキテクチャ設計時にこれらのコストを考慮せずに構築すると、想定外のネットワーク料金が発生することがあります。
監視・アラート体制の未整備
コスト監視のアラート設定を行わず、月末の請求書で初めて高額な料金に気づくケースが多発しています。リアルタイムでのコスト監視体制がないと、問題が発生してから対処するまでの間に、大きな損失が発生してしまいます。
これらの問題は、適切な監視と定期的な見直しによって防ぐことができます。
継続的なコスト監視で「見えない出費」を可視化する

AWSコストの適切な管理には、リアルタイムでの監視と定期的な分析が不可欠です。月末の請求書で初めて高額な料金に気づくのでは手遅れです。日次・週次でのコスト推移を把握し、異常な変動を早期に検知する仕組みを構築することで、コスト急増を未然に防ぐことができます。
AWS Cost ExplorerとCost and Usage Reportsの活用
AWS Cost Explorerは、過去13ヶ月のコスト推移をグラフィカルに表示し、サービス別・リージョン別・タグ別などの詳細な分析を行える標準ツールです。Cost and Usage Reportsと組み合わせることで、時間単位での詳細なコスト分析も可能になります。
CloudWatchによるリアルタイム監視とアラート設定
CloudWatchでコスト関連のメトリクスを監視し、設定した閾値を超えた際に自動でアラートを送信する仕組みを構築します。日次・月次の予算を設定し、80%に達した時点でアラートを出すことで、コスト急増を早期に検知できます。
AWS Budgetsでの予算管理と自動制御
AWS Budgetsを使用して、サービス別・プロジェクト別の予算を設定し、予算超過時の自動アクションを定義できます。例えば、開発環境で予算の90%に達した際に、自動的にEC2インスタンスを停止するといった制御も可能です。
タグ戦略による詳細なコスト分析
すべてのAWSリソースに一貫したタグ付けルールを適用することで、プロジェクト別・部門別・環境別の詳細なコスト分析が可能になります。「Environment(production、staging、development)」「Project」「Owner」などの標準タグを設定し、コストの責任範囲を明確化します。
これらの監視体制を整備することで、コストの透明性が向上し、無駄な支出を早期に発見できるようになります。
効果的なコスト最適化の具体的手法
コスト監視によって無駄な支出を特定できたら、次は具体的な最適化施策を実行していきます。単発的な見直しではなく、継続的な改善プロセスとして取り組むことで、長期的なコスト削減効果を実現できます。
ここでは、多くの企業で効果を上げている実践的なコスト最適化手法をご紹介します。
Reserved InstanceとSavings Plansの活用
長期間継続的に使用するEC2インスタンスやRDSについては、Reserved Instance(RI)やSavings Plansの購入により、最大75%のコスト削減が可能です。1年または3年の利用を前提として事前に契約することで、大幅な割引を受けられます。
適切なインスタンスサイジングと定期的な見直し
CPU使用率やメモリ使用率を継続的に監視し、実際の負荷に合わせてインスタンスタイプを最適化します。多くの場合、初期設定よりも小さなインスタンスで十分な性能を発揮でき、30-50%のコスト削減を実現できます。また、AWS Compute Optimizerを活用することで、AIによる最適化推奨を受けることも可能です。
Auto Scalingとスケジューリングの活用
負荷に応じてリソースを自動的にスケールイン・スケールアウトするAuto Scalingを設定することで、必要な時にだけリソースを使用し、無駄なコストを削減できます。また、開発環境やテスト環境は業務時間外に自動停止するスケジューリングを設定することで、大幅なコスト削減が可能です。
ストレージの最適化とデータライフサイクル管理
S3のストレージクラスを適切に選択し、Intelligent-TieringやGlacierを活用することで、アクセス頻度に応じたコスト最適化を実現できます。また、古いスナップショットやログファイルの自動削除ポリシーを設定し、不要なデータの蓄積を防ぎます。
これらの最適化手法を組み合わせることで、性能を維持しながら大幅なコスト削減を実現できます。
TechThanksの継続的なAWSコスト最適化サポート
AWSコストの最適化は一度実施すれば終わりではありません。ビジネスの成長、システムの変化、新しいAWSサービスの登場に合わせて、継続的に見直しと改善を行う必要があります。TechThanksでは、お客様のAWS環境を長期的にサポートし、コスト効率と性能を両立したクラウド運用をご提供します。
「導入して終わり」ではなく、運用フェーズにおいても継続的な価値提供を重視しています。月次でのコスト分析レポート、四半期ごとの最適化提案、新機能やサービスを活用した改善施策など、お客様の事業成長を支える包括的なサポートを行います。
TechThanksでは、専門知識を持つエンジニアがお客様のAWS環境を継続的に監視し、コスト最適化の機会を見逃しません。CloudWatchアラート設定、Reserved Instanceの適切な購入タイミングの提案、不要リソースの定期的なクリーンアップなど、きめ細かなサポートにより、「クラウド破産」のリスクを確実に回避します。
AWSコストでお悩みの際、または継続的な最適化サポートをお求めの際は、ぜひTechThanksまでお気軽にご相談ください。