運用保守から移行後支援までカバー|AWS運用代行のポイントを丁寧に解説

AWSを導入したものの、日々の運用や保守に課題を感じている企業様は少なくありません。特に、マルチアカウント環境の管理や移行後の体制構築には専門知識が求められます。

こちらでは、AWS運用代行サービスの対応範囲や委託前の確認事項、スムーズな導入方法までを丁寧に解説します。

AWS運用代行サービスの主な対応範囲とその役割

AWS運用代行サービスの主な対応範囲とその役割

AWS環境の運用は、導入後も継続的な管理と技術的な対応が求められます。特に障害監視や、リソースの最適化、セキュリティ維持といった日常業務は、企業のIT担当者にとって大きな負担になりがちです。

こうした背景から、AWSの運用業務を専門の外部業者に委託する「運用代行サービス」の活用が広がっています。運用代行サービスでは、AWS環境の保守・監視・改善など幅広い業務がカバーされており、以下のような対応範囲が一般的です。

AWS運用代行でよく対応される業務

システム監視と障害対応

リソース利用状況やアラートログを常時監視し、異常発生時には即座に一次対応を行います。

バックアップ運用とデータ保全

定期的なスナップショット取得やリストアテストの実施を通じて、万が一の障害にも備えます。

セキュリティ管理

ファイアウォール設定、アクセス制御(IAM)、暗号化の適用などを含むセキュリティレベルの維持・改善を担います。

OS・ミドルウェアの保守

脆弱性対策として、定期的なアップデートやパッチ適用を行います。

リソースの最適化提案

運用状況の可視化やコスト分析に基づき、必要に応じたリソース見直しや構成変更を提案します。

委託のメリットと活用される場面

AWS運用代行を導入することで、社内の技術者リソースをコア業務に集中できるようになるほか、専門知識に基づいた高度な対応が可能になります。特に、以下のような場面で活用される傾向があります。

  • 社内にAWSの専任担当者がいない、または人手不足でカバーできない
  • 担当者の退職・異動などによりナレッジが属人化している
  • 障害発生時の対応に不安がある
  • セキュリティ対策やコスト管理まで含めた運用を強化したい

AWSの運用は、ただインフラを維持するだけでなく、ビジネス全体の信頼性や成長スピードに直結します。そのため、安定した運用体制を構築することは企業の重要な課題の一つといえます。

マルチアカウント環境における注意点と確認事項

マルチアカウント環境における注意点と確認事項

AWS環境の利用が進む中で、1つのアカウントに依存せず、複数のアカウントを使って構成を分離する「マルチアカウント環境」が一般的になりつつあります。情報漏えいや人的ミスによる影響範囲を限定できるメリットがある一方で、アカウントごとの管理や統制が煩雑になりやすいため、運用代行を依頼する際には事前確認が重要です。

以下で、マルチアカウント環境におけるAWS運用代行を検討する際に、あらかじめ把握・共有しておくべきポイントを整理します。

マルチアカウント環境の特性と委託時の課題

統制の効いたアカウント設計が必要

マルチアカウントでは、各環境(開発・本番など)や組織単位ごとにアカウントを分けるため、構成設計の初期段階から意図をもってアカウント体系を整える必要があります。代行業者に依頼する際は、このアカウント設計の背景や運用方針を共有することが重要です。

ポリシーやログの一元管理体制の確認

複数アカウントのセキュリティポリシーやCloudTrailなどのログ取得を一元的に管理するには、適切な連携設計が不可欠です。これらのログを適切に集約・分析する体制を整えておくことで、異常の早期発見やコンプライアンス対応にも役立ちます。

IAMの適切な設定と委託範囲の明確化

アカウントを跨いで管理者権限を与えるIAMロールや、委託先が操作できる範囲についても、明確に取り決めておく必要があります。特にセキュリティ観点から、最小権限の原則を守ることが求められます。

スムーズな委託に向けた事前準備のポイント

  • 現在のアカウント構成図や役割分担の資料を準備する
  • IAM権限やログ取得状況、セキュリティ設定の一覧を洗い出す
  • 対応が必要なAWSサービスの範囲を整理する

このような整理を行うことで、代行依頼時のやり取りがスムーズになり、移行後のトラブルも最小限に抑えることができます。企業ごとの管理方針やアカウント設計に応じて、柔軟な対応体制を整えることが、マルチアカウント環境の成功には欠かせません。

スムーズに運用代行を始める方法

オンプレミス環境や他クラウドからAWSへ移行する企業が増える中で、移行後の運用フェーズをいかにスムーズに立ち上げるかが重要なポイントになります。

特に、AWS特有の設計や管理方式に対応できる体制を整えないまま運用を開始すると、トラブルや非効率な作業が発生するリスクがあります。

以下で、移行後に運用代行を円滑に始めるための準備や進め方について解説します。

移行直後に求められる運用対応とは?

モニタリングとアラート設定の再構築

移行後の環境では、CloudWatchやCloudTrailなどの監視ツールを使った設定の見直しが必須です。オンプレミスとは異なるリソース構成や運用ルールに合わせ、アラートの閾値や通知先などを再設計する必要があります。

セキュリティ設定の初期整備

IAMポリシーやネットワーク制御(VPC、セキュリティグループなど)は、移行元と異なる構成になることが多いため、初期設定段階での見直しが重要です。移行後すぐのセキュリティホールを防ぐためにも、最小権限でのアクセス設計を徹底することが求められます。

構成管理とタグ設計の明確化

複数のサービスが絡むAWS環境では、リソースに対するタグ管理やIaC(Infrastructure as Code)による構成管理の整備も推奨されます。後の運用フェーズでのコスト管理や監査対応に直結するため、初期段階から明文化しておくことが望ましいです。

スムーズな運用開始に向けたポイント

  • 移行時に使用した設計書や構成図を運用担当と共有する
  • 各種サービスの利用範囲や運用ルールを文書化しておく
  • 代行業者に引き継ぐ範囲を明確にし、業務分担を可視化する

定期的な打ち合わせを設定し、初期トラブルを早期に吸収する

移行後のAWS環境は、安定稼働に至るまで一定の調整期間が必要です。そのため、運用代行を始める前に関係者間で十分な情報共有とルール設計を行い、環境の全体像を正しく理解したうえで引き継ぎを進めることが大切です。

専門パートナーと連携してAWS運用の安定を実現

AWSの運用には、専門的な知識とスピード感のある対応力が求められます。特に、マルチアカウント構成やクラウド特有の設計思想を理解し、セキュリティ・コスト・運用効率のバランスを保ちながら継続的に最適化を図るには、外部の専門パートナーとの連携が非常に効果的です。

TechThanksでは、AWS導入後の運用支援からマルチアカウント環境の統合管理、既存環境からのスムーズな引き継ぎまで、一貫したサポートをご提供しています。各企業様の運用体制やご要望に応じた柔軟な設計・運用支援が可能です。

安定運用に課題を感じている企業様や、クラウド導入に不安を抱えているご担当者様は、ぜひ一度TechThanksまでご相談ください。運用現場に寄り添った実践的な提案で、長期的な安心と成果につなげてまいります。